国連CEFACTでは、標準化されたEDIで使用するデータ要素を構造化(データモデル化)した形式で定義する。国連CEFACTは、データモデル化手法としてCCTS(Core Components Technical Specification:コアコンポーネント技術仕様)を定め、ISOの標準(TS15000-5)としている。CCTSに則って整備が進められているか、CCL(コアコンポーネントライブラリ:国連CEFACT共通辞書)である。
1.CCLの構成
EDIでは、「受発注」「出荷納入」「請求支払」など、取引の中核となる情報がネットワークを通じて異なる企業のコンピュータ間で交換される。例えば、発注においては、図1の左側に示すような注文書の情報が(メッセージとして)やり取りされる。 注文書には、注文する 「商品情報」「数量情報」「単価情報」 とともに 「買い手情報」「売り手情報」が記載される。これら、注文と言う特定の業務プロセスで使われる情報を 「ビジネス 情報項目 (BIE)」 と 呼ぶ。「コア構成要素 (CC)」(例えば 「取引当事者」)の定義 を整備 し、更 に「コア構成要素(CC)」 に基づいて、取引の業務プロセ スごとに使われる情報項目「ビジネス情報項目 (BIE)」(例えば「買い手情報」「売り手情報」)の定義を行い、国連CEFACTの公式Webより公開している。
ところで 「買い手情報」も「売り手情報」も、同じように企業名や企業コードがあり、それぞれ住所情報を持っている。そこで図1の右 側 の ように「取引当事者」と言う汎用的な情報定義を行なうことで、「買い手情報」「売り手情報」に限らず取引に係る「倉庫事業者情報」や「運送事業者情報」 や「仲介業者情報」も同様の情報構造で定義できる。 このように汎用化された情報項日を「コア構成要素(CC:コアコンポーネント)」と 呼ぶ。
国連CEFACTのCCL(コアコンポーネントライブラリ:コア構成要素ライブラリ:国連CEFACT共通辞書)では、取引のいろいろな場面で使 われるこのような汎用化された情報項目「コア構成要素 (CC)」(例えば 「取引当事者」)の定義を整備し、更に「コア構成要素(CC)」 に基づいて、取引の業務プロセスごとに使われる情報項目「ビジネス情報項目 (BIE)」(例えば「買い手情報」「売り手情報」)の定義を行い、国連CEFACTの公式Webより公開している。
2.CCLの体系
CC及びBIEは、数学の集合理論を応用して情報項目をグループ化することにより項目の重複や錯誤を防ぐ工夫を行っている。
具体的には、CCは以下の3種を定義している。
また、それらCCから派生し、実際の適用業務に当てはめた「業務情報項目(BIE)」も上記ACCとBCCに対応して、
3.CCLの用途・役割
CCLは、取引する企業間で情報交換を始めようとするときに、取引当事者のそれぞれが誤り無く情報項目を解釈して、それぞれの業務システムに当てはめるために参照するもの。 具体的には、個々の企業間取引による対応に止まらず、業界標準EDIを国際標準に対応させたり、異なる業界間でEDIの相互運用性を確保するために、業界EDI標準にCCL対応表を作成するときに使われる。また、業界標準EDIが受発注・出荷納入・請求支払のサプライチェーン業務の全般に及ぶ時には、その業界標準EDIが定めるデータ間の整合性を保証するためにもCCLは使える。 更に、企業内のEDIに係る業務アプリケーション間におけるデータの整合を確保するためにもCCLに則ってアプリケーションデータの定義を行なうことも、全社的なシステム統合には有効となる。
又、新たな業界標準EDIを策定しようとするとき、また新たな業務プロセスにEDIを導入しようとするときには、将来の他業界との相互運用性や国際取引への適用を考慮して、情報モデル化の段階から国際標準である国連CEFACTのCCLを採用すべきと考える。
国連取引でEDIによる情報交換と行うにあたっては、国の違う当事者間でEDIメッセージと使われる情報項目につき合意しなければならない。この時、国連が発行しているCCLを採用すれば、EDI対応における公平性が保たれる。また、EDIを積極的に活用している国際企業では、既にCCLを採用している場合がある。その場合、国内で使用しているEDIメッセージをCCLに対応させることになる。
国内の業界標準EDI仕様を発行している業界団体では、当該業界標準EDIメッセージ定義にCCL対応表を追加しておけば、業界のユーザ企業の国際対応を容易にすることが出来る。